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父のみそ汁

いま再来年のカレンダーの制作にとりかかっています。
担当の方と何年も先のための仕事をしていると、
そのとき生きていないと話にならないし、
どうするのだろうと心配になります。

とりかかっているカレンダーの画題は「家族」にしようかと思っております。
そういえば、母親を亡くしたあとの父親のみそ汁は、
何ともおいしくありませんでした。
フランス帰りの父(画家・雨田光平)曰く、
「ふらんす風は、ねぎは刻まない」のだとか。
きっと面倒だったのでしょう。
お椀持った子ねこと親父猫とで
お題は『父のみそ汁』なんてのはどうだろうかと思います。


空襲のとき、母は空を見上げて「まあ、きれい」と立ち止まりました。
自分の掘った防空壕に落っこちて足を骨折した父は動転していて、
母を叱りつけました。
母は病で死んだ弟の位牌だけ持っていましたし、
僕は鼻緒の切れた下駄をぶらさげて、学校の教科書を持っていましたが、
いつかどこかで鞄もろとも落としたらしく、
鼻緒の切れた下駄の片方だけを大事に持っていました。
父は松葉杖をついてリュックを背負い、
コーヒーの豆挽き機をしっかりと抱えておりました。

母が言っておりました。

「二度の空襲、福井の大地震での火災にも、
 コーヒーの豆挽き機をお父さんはしっかりと持って逃げました。
 あれはよっぽど想いがこもっている物ですね。
 裸のモデルさんが、あれでコーヒー豆を挽いたのだそうよ」

それまでは亡くなった母の嫉妬まじりの話だと思っていましたが
僕はこの歳になって、その話が本当なのだろうと納得いたしました。
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フルーツオーケストラ

音楽界

誰が名づけたのか知りませんが、
いつの間にかフルーツオーケストラといわれる楽団になりました。
年に二回、春と秋に演奏しに白州にある施設にでかけます。
演奏する者も鑑賞する者も同じ空間で遊び合って帰ってきます。

音楽を媒体にお互いに癒し合えるのがうれしいです。
いつまで続けるのかなんて考えたことはありません。
以前、聞いている方のなかでピアノの汚れが気になって
拭き取りにきて下さった方がおりました。
本当は汚い音をそうじしたかったのかもしれません。ありがとう。

コメントお返事

>ひろりんさん

コメントありがとうございます。
初めての方からおたよりをいただくなど“あまネコ”様々ですね。

アメリカのニューヨークで、
メトロポリタン歌劇場管弦楽団のコンサート・マスターだったおじいさんが、
ひょんなことから“あまネコ”の大ファンになってくれまして、
この度も夏のお便りをいただきました。
彼が理事をしているMOMA美術館のなかで、むずかっている子どもがいて、
あまネコの絵はがきをみせたところ、展示してある絵画には目もくれず、
すっかり大人しくなってしまったそうです。
このおじいさんも、あまネコへの思い入れが強い人なのかもしれません。

どうぞまたあまネコに会いにいらしてくださいね。
プロフィール

雨田光弘

Author:雨田光弘
1935年東京生まれ。桐朋学園大学卒業後、日本フィルハーモニー交響楽団に入団。首席チェロ奏者として活躍後、ソロ・室内楽活動の一方で、幼少より才能を発揮していた絵の創作で一躍名を知られる。楽器を弾く猫や動物などのモチーフは、多くの著名演奏家や音楽愛好家にも愛され、ネコ好きにはたまらない魅力の作品を数多く描き続けている。

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